歯周病

歯周病の症状、進行について

徐々に、静かに進行し、気づいたときには手立てがないことも
虫歯が悪化して歯を抜くところはイメージできても、「歯周病で歯が抜ける」というイメージをお持ちの方は少ないようです。
大人が歯を失う原因の第一位は、虫歯ではなく歯周病です。歯周病はゆっくりと、静かに進行します。虫歯の痛みのような「分かりやすい症状」がないまま、重度にまで進行してしまうケースも見られます。
「歯ぐきから血が出る」「口臭を指摘された」「歯の動揺(ぐらつき)がある」ことに気づいて受診される方が多数ですが、そういった症状が現れたときには歯周病はかなり進行しています。
「何歳から歯周病予防をすればいいですか?」とよく患者様からきかれますが、答えは「今すぐ」です。とは言っても、予防はそれほど難しいことではありません。定期検診に通いながら、毎日のブラッシングを正しく行うことで、虫歯と同様に予防が可能です。

歯周病の本当の怖さ

糖尿病をはじめとする全身疾患と関係性

歯周病は虫歯と異なり、歯を失うこと以外にもさまざまなリスクをはらんでいます。
全身疾患、特に糖尿病とは密接な関係にあるのが歯周病です。歯周病の方の血液で増殖するサイトカインと呼ばれる物質が、血糖値を下げるためのインスリンの作用を阻害し、糖尿病を悪化させます。
糖尿病の他にも、動脈硬化とそれに伴う脳血管疾患・心疾患、呼吸器疾患といった、ときに命に関わる病気のリスクとの関係を指摘されています。

出産に関するリスク

妊娠されている方が歯周病である場合、早産や低体重児出産のリスクが大きくなります。妊娠中はホルモンの分泌量に関連して歯肉の炎症が起こりやすい状態でもありますので、妊娠を希望されている方は、症状の有無にかかわらず、歯周病の予防・治療に取り組まれることをお勧めします。

歯周病を発見するには

歯が痛くなってすぐに歯科医院に行けば、多くの場合虫歯が見つかり、治療が可能です。
ただ歯周病の場合はそうはいきません。初期には自覚症状がほとんどないため、受診が遅れ、治療の開始も遅れます。そして症状が現れた頃には、もうずいぶんと進行しています。
もっとも良いのは、3か月に一度定期検診に通いながら予防に努め、「専門家の目」でごく初期のうちに発見してもらうことです。
3か月に一度の通院が難しいという方は、ときどき、以下の項目をチェックしてみてください。該当が3つ以上の方は「要注意」、6つ以上の方は「治療が必要である可能性が高い」と言えます。

  • 起床時に、口内が気持ち悪い、粘ついている
  • 歯を磨くときに出血がある
  • 口臭が強い、指摘された
  • ときどき歯肉がムズムズする、痛い
  • 歯肉が赤い、ぶよぶよしている
  • 硬い物を噛むときに躊躇う
  • 歯が長くなったように見える(歯肉が下がったため)
  • 歯間に以前はなかった隙間ができた、食べ物が詰まる

 

歯周病の治療方法について

歯周病の治療では、当院の院内で行うSRP(スケーリング・ルートプレーニング)と、ご自宅でのブラッシングを中心としたセルフケア、その両方からの取り組みが重要です。
これらの治療で改善が見込めない場合には、フラップオペ、エムドゲインといった外科的な治療が必要になることもあります。

SRP

歯科医師や歯科衛生士が行う基本的な歯周病治療です。特殊な器具を用いて、セルフケアでは取り除けない歯垢・歯石を徹底的に、歯周ポケットの内側までをきれいにします。
症状が改善してからも、できるだけ定期検診をご利用いただき、安定した状態を維持することに努めましょう。

セルフケア

ブラッシングはもちろん、フロスや歯間ブラシ、洗口剤を使ったセルフケアを行っていただきます。歯ブラシの選び方から磨き方、ケア用品の正しい使い方も、患者様一人一人にアドバイスいたします。

歯周病にならないための予防策

毎日のセルフケアと定期検診を軸に、歯周病を予防しましょう。歯周病予防は、同時に虫歯予防に、そして全身の健康促進につながっています。

毎日のセルフケア

毎日歯科医院に通うわけにはいきません。セルフケアは、お口の健康を守るためにもっとも重要なポイントです。歯と歯ぐきの境目、歯間、歯の裏側も丁寧にお手入れしましょう。
正しいブラッシング、フロスや歯間ブラシ、洗口剤の使用など、ご自身に合ったセルフケアをアドバイスいたします。

定期健診

初期症状がほとんどない歯周病において、早期発見のために定期検診は欠かせません。歯科衛生士による口内の清掃、セルフケアの質を高めるアドバイスが受けられます。状態が良好であれば、定期検診の間隔を徐々に延ばしていけます。

お口に優しい食習慣

栄養バランスの良い食事を、しっかりと摂りましょう。唾液の分泌を促すため、十分に噛むことも大切です。
一日に何度も間食をしたり、だらだらとお菓子を食べると、お口の中で細菌が繁殖しやすくなります。

禁煙

粘膜下の血管を収縮させる喫煙は、歯周病を悪化させます。できるだけ禁煙しましょう。